そこに現れたのは金髪のさらさらのショートヘア、大きい目蒼い瞳、筋の通った鼻をした美少年だった。
 「えええええええ」
 まことは驚いた。同時にその美少年にみとれた。首にスカーフを巻いていた。
 「ヤンキー」
 と、女子がいった。
 「さもそんな感じで歩いている」
 と、女子。
 「不良」
 と、女子。
 「気持ち悪い」
 と、女子。
 「そういうの金持ちのボンボンだろう」
 と、女子。
 「金持ちじゃない」
 と、女子。
 「なんだ、一体なんなんだ」
 と、まこと。その美少年は女子たちの中を歩いていた。
 「みんなに嫌われている」
 と、女子がいった。
 「なに」
 美少年は切れた。話者の女子に向いた。その女子はにやにやしている。
 「ヤンキーが出てきたあ」
 と、別の女子。 美少年はさらに切れた。
 「なんか言ったか」と美少年は叫んだ。
 「そろそろ暴力ふるってくるぜ」
 と、街の人がいった。
 「ナイフでももってんじゃないか、刃物でも持ってんじゃないか」
 街の人たちがいっている。
 「なんだよ。これ。言動異常者だぜ」
 と、まこと。
 「ヤンキーや、ほんとのヤンキーや」
 と、先ほど「あんなヤンキーが帰って来た」と叫んでいた女子がいった。
 美少年は涙目だ。
 「お、おい」
 と、まこと。
 「おい」と女子が美少年を押した。すると、美少年は倒れた。美少年は立ち上がった。
 「何するんだ」
 と、美少年が自分を押した女子につっかかった。
 「お、女性に手をだすぜ」
 と、街の人。
 「ちょっと押しただけじゃあん」
 と、その女子はいって、美少年をまた押した。
 「うわあ」
 美少年が、後ろに倒れた。
 「お、おい」
 と、まこと。
 美少年は立ち上がった。
 「やったなあ」
 美少年は女子をにらみつけた。
 「ちょっと押しただけっていってんだろう」
 と、美少年の後ろにいた女子が美少年の背中を押した。
 「うわあ」
 と、美少年。
 「おい」
 と、まことは大声を出した。
 「ん」と、美少年の周りの女子たち。まことを見ている。
 「不審者」
 「不審者」
 「不審者」
 と、街の人たちが口々にいった。
 「な、なんなんだ。こいつら。不気味だぜ。言動異常者だ」
 「なんだ、不審者」
 と、女子がいった。
 「はあ、不審者あ、私の名は麻戸まことってんだ」
 「私たちは知らない人を不審者というんだ」
 と、女子。
 「はあ。なんだ。それ」
 「不審者、なんのようだ」
 「だあ、かあ、らあ、私の名は麻戸まことというんだ」
 「不審者か」
 「話にならねえ。なんだこいつら」
 「日本語さ」
 「ああ」
 と、まこと。
 「日本語じゃないのか」
 と、女子。
 「何言ってるかわからねえ。とにかく、よってたかって、暴力はいけねえ。やめろよ」
 と、まこと。
 「こいつのことはほっとけ。女になぶられて楽しいんだ」
 と、女子。女子はにやにやして美少年を見た。
 「とにかくやめろ」
 女子は無視して、美少年に向いた。そうして、美少年を手で押そうとした。そのとき。まことは、その女子の手をつかんだ。
 「え」
 と、女子はまことを見た。
 「だからやめろって」
 と、まこと。
 「なんなんだよ」
 と、女子はまことの手を振り払い、まことにつきをいれようとした。すると、まことは、女子の手をいとも簡単に受け止めた。
 「ふ」
 と、まことは手を放した。
 「な」
 と、女子。
 「みんなで、やっちまえ」
 と、女子。女子たちがまことにつっかっかった。まことは女子たちの攻撃をいとも簡単によけた。そうして、女子たちをやっつけていった。
 「ちっ、お前一体?」
 と、女子。