麻戸家居間。
 ちゃぶ台に崋山があぐらをかいて、ついていた。まことがやってくる。お茶碗を持っている。まこと、お茶碗を崋山の前に置く。
 「はい。おじさま」
 「ありがとう」
 崋山は茶碗に盛られたご飯を見た。
 「うーん、いい香りだ」
 「ありがとう。おじさま」
 まことは去る。しばらくして、お椀を持ってきた。
 「はい。お味噌汁です」
 と、まこと。
 「うーん、いい香りだ」
 と、崋山。
 「ありがとう、おじさま」
 といってまことはさった。まことは皿を持ってきた。崋山の前に置いた。キャベツの千切りだった。
 「うーん。きれいだ」
 と、崋山。
 「ほんと。おじさま」
 と、まこと。まことは喜んだ。まことは去った。
 今度はまことは、大皿を持ってきた。崋山の前に置いた。とんかつだった。
 「おお」
 と、崋山。まことは微笑んだ。
 「どうぞ、おじさま。召し上がってください」
 「ああ、まこと君と麻戸君と一緒にいただきます、するよ」
 「そうですか」
 まことは去った。
 まことと、泰山が現れた。
 まことは崋山の隣にお茶碗を置いた。泰山は崋山の向かいにお茶碗を置いた。まこと、崋山は去った。
 まこと、崋山は、今度は味噌汁を持って来て、それぞれ置いた。また去ると、それぞれキャベツの入った皿を置いた。また去った。まことと泰山はとんかつの載った大皿を持って、それぞれ置いた。
 まことはまた去って、今度はドレッシングと、とんかつソースを持って、ちゃぶ台に置いた。
 まことはポットから急須に湯を注いだ、そうして、急須で、崋山の向かいの湯のみにお茶を注いだ。それから、崋山の隣の湯のみにお茶を注いだ。
 まことは、崋山の隣に座った。
 「そこ、まこと君が座るのかい?てっきり、裏原君が座るんだと思った」
 「ええ」
 と、まこと。
 「うん」
 と、泰山は崋山の向かいに座った。
 「裏原君、これはみんなまことが作ったのじゃ」
 と、泰山。
 「ほんとかい」
 と、崋山はまことを見た。
 「はい、おじさま」
 崋山はまことの作った料理を見渡した。
 「全部かい?お味噌汁とかも」
 「はい」
 まことはにっこり笑った。
 「へえ」
 「では」
 と、泰山が手を合わせた。
 崋山、まことが手を合わせる。
 「いただきます」
 と、一斉にいった。
 まことは崋山を見守った。崋山は箸を持った。
 「ようし。まず、お味噌汁をいただこう」
 と、崋山。崋山はお味噌汁を飲んだ。
 「うーん、おいしい」
 「ほんと」
 と、まこと。
 「うん、ほんとさ」
 崋山はお味噌汁を飲み干した。
 「じゃあ、次はキャベツだ」
 崋山はドレッシングをとった。崋山はドレッシングをかけた。崋山はキャベツを食べた。
 「うーん。しゃきしゃきしておいしいね」
 と、崋山。まことは笑顔になった。
 「では、次にとんかつをいただくとするか」
 と、崋山。いよいよかあ、とまことは思った。
 崋山は箸で、とんかつの一切れをとった。まことはわくわくしてみやった。崋山はとんかつをほおばった。
 「香ばしくておいしよ」
 と、崋山。まことは笑った。
 「さあ、まこと君も食べなさい」
 と、崋山。
 「はい」
 と、まこと。