崋山は居間の机にあぐらをかいてついていた。
 「おじさま」といってまことが現れた。まことは崋山の前に箸をおいた。
 「あ、ありがとう」
 と、崋山。まことは、崋山の隣に箸をおいた。そうして崋山の向かいに箸をおいた。
 「おじさま、お茶いれましょうか」
 「あ、ああ」
 まことはにっこり笑った。
 「10分ほどお待ちください」
 「へえ。まこと君は丁寧だね」
 まことは片手を後頭部にやった。
 「ありがとう」
 まことは去った。しばらくすると、急須を持って現れた。まことは急須をちゃぶ台に置いた。まことはまた去った。そうしてまたまことが来ると、今度はポットを持ってきて、ちゃぶ台に置いた。まことは去った。まことはまたも戻ってきて、湯呑をちゃぶ台に置いた。そうして、ポットから急須へお湯を注いだ。そうして、急須から湯呑へお茶を入れた。
 「はい。おじさま」
 と、まことは、湯呑を崋山の前に置いた。
 「ありがとう」
 と、崋山。崋山はお茶をすすった。まことは見守った。
 「うーん。うまい」
 まことは微笑んだ。まことは去った。
 まことが戻ると、崋山の隣、崋山に向かいに湯呑を置いた。そうしてまことはまた去った。