「麗眞、行こう!
いい場所取らないと、パレード終わっちゃう!」

「分かったから、はしゃぐなって。
転んでも知らないよ。

それに、コート着ないで出る気?
寒いだろ」

彼女の女性らしい柔らかな曲線をもろに拾う白いニットに、ツイードのスカート。

ツイードはモノトーンではなく、紫がかったピンクの色味も混ざっている。

コートを椎菜に着せてやる時に、手がほんの少しニットの上から主張する膨らみに触れてしまったが、不可抗力だ。

「もう!
わざと?」

「んー?
どうかな。

どちらにしても、パレードの後は部屋取ってあるから、そこで過ごそう?

可愛い椎菜を一晩中独り占めしてたい」

「ちょっと……!
今、それ言うの反則!
パレードどころじゃなくなるでしょ?

ほら、早く行こ!」

椎菜のゆでダコのように真っ赤な顔を隠すように、パレードへと急ぐ椎菜。

彼女の手を、そっと掴む。

「はしゃいでる椎菜も可愛いけど。
迷子になったら困る」

45分間は、あっという間で。

サンタ姿のキャラクターたちに手を振る子供のような椎菜を目に焼き付ける。

俺の彼女、可愛すぎか、ホント。

夜だからこそ映える、SNSにアップするんだと言って何枚かクリスマスツリーの写真を撮っている。

スタッフに声を掛けて、何枚かツーショットも撮った。