始球式を、と持て囃されて、店長が投げた。

いや、野球じゃないんだから……

1投目で、見事なストライク。

聞くと、一時期プロを目指して練習に明け暮れた過去があるとか。

……いや、反則でしょ。

店長がいるチームは、この時点で勝ち確定じゃん。

店長は、友映ちゃんと優弥のチームになった。

私はというと、友映ちゃんの彼氏と、よくシフトが一緒になった大学生の女性だ。

シフトが一緒になったとはいえ、あまり話したことはない。

自分と同じ立場になろうとしている私達を、密かに応援したい。

その理由から、多めにシフトに入ったりしていたらしい。

講義を受けながら、教職も取っているらしい。

優弥が滑り止めで受けた大学で学んでいるという。

心からホッとした。

何かの拍子に、億が一にも年上になびかないという保証はない。

「そういえば、正瞭賢の文化祭で一度お会いしているんですけど。

自己紹介はまだでしたね。

相原 真紀(あいはら まさき)です。

彼女と違って、正瞭賢高等学園にいるわけではないので、近くで見守ることはできないですが。

正瞭賢とはバレー部の練習試合でよく当たりますし、話は聞きます。

外からの視点を、次期生徒会長として活かせる頭の良さが友映にはありますので。

そこは心配していません」

この子は、生徒会長に推されているのだ。

ピアノ教室にも通い、塾にも通い、生徒会長にアルバイトに。

同級生の深月(みづき)以上のわらじの履き方だ。

いつか過労で倒れるんじゃないだろうか。

「友映ちゃん溺愛で、いいなぁ。
いい子だから、幸せにしてあげてね!

くれぐれも、無理させないように。

さぁ、始めようか!
やるからには、負けたくないもんね!

真紀くんも、運動部なら、勝ちたいでしょ」

「もちろんです」

複数人でやるボウリングは、楽しすぎた。