深月の母親は、精神科医としてアメリカと日本の往復をしている。
日本には、たまに資料や荷物を取りに戻るくらいだ。
深月の父親は、アイドルとして日本の若い女性から妙齢の女性までを熱狂させている。

『あ、悪い。
母親から連絡が来てな、俺の家でもいいかな。

深月も一緒にいるなら一緒に家に来て、クリスマスケーキやら夕飯囲まないか、だってさ」

「え、むしろ……いいの?

悪いよ、私なんて、まだ秋山家と繋がりあるわけじゃないのに、まだ他人だよ?

何か、いろいろ気に掛けてくれてすごく助かってるけど」

「んー?

俺としてはその方がいい。

社宅に1人はつまらないから、姉貴も顔出す、って言ってるんだ。

人数は多いほうがケーキも当日中に消費できるし、秋山家としても嬉しいんだよ。

ってことで、ささやかだけど秋山家のクリスマスディナーに招待しますよ。

お呼ばれしてくれるよね?

深月」

「もちろん、喜んで」

俺もプリンをようやっと食べ終えて、テントを出る頃には、自然と俺と深月の手は繋がれていた。

世界一大事にしたい愛する人に、素敵なクリスマスの1日を、プレゼント出来るなら、こんなに嬉しいことはない。

メリークリスマス、深月。