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家に帰り着き、ヒールを脱ぎ捨て寝室に直行する。


絶対に1人用サイズじゃない大きなベッドに寝転がると、言い知れない寂しさと怠さに襲われた。


どこまでも黒で塗りつぶされた闇夜は、これからの私の未来を示唆しているようだ。


1人、言いようのない不安に駆られていると、スマホのバイブ音が静かな寝室に響き渡った。


誰だろう……って、今私に電話をかけてくる奴は慈恩かアオイしかいない。


少しくらい、放っておいてよ。

うんざりした気持ちで、私は鳴り続けるコール音を無視した。


…………


「……んん、」


眩しさを感じて、目を擦る。

しばらく目を閉じたまま、回らない頭でぼーっとしていると、あることに気づいてはっとした。


私、寝てしまってた……?

ドレスのまま、化粧も落とさずに。


そう思った時、今まで壊れていたやる気が急に作動した。


「……起きなきゃ」


だけど体が重い。