桜也は、親が経営する島の唯一の店を継がずどこかのIT企業に就職したため結構普通に休みが取れるらしい。
ちなみにお店は、9つ年上の彼のお姉さん、桜花(はるか)さんが継いでいて、引き継ぎ祝いに一緒に行ったのを覚えている。
……そのときは、確か柚燈もまだいた気がする。
そうだ、思い出した。
4人で、桜花さんが振る舞った料理を食べて久しぶりにたくさん話したんだった。
隣では柚燈がこれはなんの調味料を使ってるとか、ツッコミをいれてたり、桜也は桜花さんと言い合いしたりとにかく賑やかなお祝いをした記憶がある。
……ほんっと、懐かしいなぁ。
そのすぐ後ぐらいだったかに柚燈が消えて忘れるために仕事に没頭していたから、桜花さんのお祝い以来地元に帰っていない気もする。
そう思うと、心が涙を流すように傷んだ。