「……じゃあね。引き止めてごめん。」


 

そう言って、私の進行方向とは逆の坂の下へ足早に去っていった。



静かに去っていく姿は本当に人間じゃなく幽霊や妖精のよう。





……柚燈。



あなたは、1人で何を隠して消えたの……?






そう心の中で呟くと、柚燈を見つけた私を責めるみたいに突き刺すような冷たい風が吹き立てた。