「…あの日、俺も久しぶりに海が見たくなって あそこに行った。やっぱ、椛とは………」
「うん?」
そこまで言って、柚燈の言葉は止まった。加えて、体の動きもぴしっと止まる。
「…っ、ごめん何もない。」
焦ったように口を閉じた。
何があったかはわからないが、本当のことを教えて欲しい。
「……。」
また、口を閉じて沈黙が流れる。
このままでは、絶対もう帰るって言われてしまうだろう。
「……ねぇ…、柚燈。1つだけ聞いていい?」
…柚燈が何で目が見えなくなったのか聞けなくても、これだけは聞きたかった。
「いーよ。」
「……、何で…、いなくなったの……?どうして、病気のこと言ってくれなかったの……?」