「――今日中には電話かかってこないだろうから、明日かな……」

 とりあえず翌日まで連絡待ち、ということにして、PCを閉じてからスマホでメッセージアプリを開くといくつかの業者の公式アカウントと、貢から新着通知が来ていた。


〈絢乃さん、今日は僕のことを心配して下さってありがとうございます。
 僕は本当に大丈夫です。兄からも電話がかかってきて、「あんな書き込み気にすんな!」って言われました。言われるまでもないですけど(笑)
 絢乃さんはあれから、何か動きがありました?〉


〈さっき、ネットで見つけた調査会社に相談内容をメールした。今連絡待ち。
 場合によっては、わたし明日は会社休むかも。また連絡するね!〉


 返信を終えたところで、登録外の番号から電話がかかってきた。番号からして固定電話ではなく、携帯電話らしい。

「――はい、篠沢ですけど……。どちらさまでしょうか?」

『篠沢絢乃さんの番号で間違いないですよね。こちら、〈U&Hリサーチ〉です。先ほどご相談のメール、下さいましたよね?』

「ああ……、はい」

 電話の声は、まだ若い女性のようだった。二十歳前後くらいだろうか。

『メール、拝見しました。それで、詳しい相談内容なんですけど。かなりお困りのようなので、明日にでも一度事務所に来て頂けないかと。そこで所長も交えて詳しいお話をしましょうか。調査料金についても』

「はい。……あの、わたし、学校があるので伺うのは夕方になると思うんですけど」

『大丈夫ですよ。所長にもそう伝えます。事務所の場所は分かります?』

「ええ、分かります。ホームページに住所が載ってましたから。では明日、よろしくお願いします。失礼します」


 やっぱり会社は休むことになりそうだ。――わたしは急いで母のいるリビングへと下りて行った。