「というか、むしろ大好きです。絢乃さんのお節介は押しつけがましくないので」

「…………あ、そう」

 お節介を「大好き」って言われても……。わたしはリアクションに困った。

「でも、本当に僕でいいんですね? 後悔しませんか?」

「うん。わたしは貴方だからいいの。あの夜、もし他の人に助けられたとしても、わたしはきっと別の形で貴方と恋に落ちてたはずだよ。わたし、貴方との出会いは運命だったって信じてるから」

「絢乃さん……、ありがとうございます。僕もそう信じたいです」

「うん、信じて!」

 これでまた、彼との関係が少し前進した気がした。


「――ところで絢乃さん、修学旅行ってどちらまで行かれるんですか? 今月下旬でしたっけ?」

 ホッとひと安心したところで、貢がまったく別の話題を持ち出した。

「うん。行き先は韓国だよ。二泊三日でソウルと釜山(プサン)を回るんだって。ちなみにわたし、韓国語もペラペラだから♪」

「えっ、そうなんですか? でもいいなぁ、韓国……。楽しんできて下さいね。僕のお土産のことは気になさらなくていいですから」

「うん♪ じゃあ写真いーっぱい送るから、楽しみにしててね」
 

 わたしの気持ちはすでに、海の向こうでの楽しい修学旅行まで飛んでいたけれど。わたしたちの絆を試そうとする試練は二人の知らない間に水面下で動き始めていたのだった。