「あ……れ?」
フミキリの向こうにいたはずの男性と、女子高校生の姿がない。

フミキリがなかなか開かないから道を変えたんだろうか?
そう思ったが、さっきまで聞こえてきていた車の音や犬の鳴き声がどこからも聞こえてこない。

なにかがおかしい。
そう思って草むらから道路へ戻り、遮断器に手を置く。

線路の右を見ても左を見ても、電車の姿は見えなかった。
このままずっとフミキリが閉じたままなんじゃないか?

そんな不安が胸に膨らんでいく。
「誰か、誰かいませんか!?」

大声を張り上げてみると、自分の声が二重三重にもなって響き渡る。
近くのアパートからも誰かが出てくる気配は見られない。

まるで自分だけがこの世界に取り残されてしまったような恐怖感が四葉の身体を駆け抜けていく。