花を持ってきたくらいでは大神様は成仏してくれない。
私達を開放してくれないんだ!

沙友理はゴクリと唾を飲み込んで草むらへと移動した。
指の有りかはわからない。

これだけ草が茂っていればフミキリ周辺を探すだけでも大変な作業だ。
「四葉にどこを探したか聞いておけばよかった」

地面に這いつくばって指を探しながら沙友理は呟く。
まさか次は自分がターゲットになるとは思っていなかったから、詳細を聞いていなかった。

四葉から詳しく話を聞いていれば、探す手間も省けたかもしれないのに。
後悔しながらも立ち止まっている暇はなかった。

草をかき分けた瞬間指先を何度も切った。
ジワリと血が滲んできて痛みに顔をしかめる。

それでも沙友理は懸命に指を探し続けた。
大神様のお願い。