四葉はようやく笑顔を見せた。
そのために花を購入してきたんだ。

3人はフミキリの前で立ち止まり、そして邪魔にならない場所でしゃがみこんだ。
四葉が地面に花を置いて3人で同時に手を合わせる。

「どうか安らかにお眠りください」
四葉が心の中で呟いたとき、カンカンカンと遮断器が下りてくる音がなり始めた。

3人はすぐに立ち上がり、一歩下がってそれを見守る。
遮断器は3人の前でゆっくりと下りてきた。

その音を聞くだけで四葉の全身にはジットリと汗がにじむ。
この遮断器がずっと上がらなかったら?

気がついたら1人になっていたら?
そんな恐怖が沸き起こってきて、喉がカラカラに乾いていく。

ギュッと手を握りしめて目を閉じて遮断器が上がるまでの数分間を待つ。
それはまるで何時間にも感じられるような長い長い待ち時間だった。

四葉の耳に電車の音が聞こえてきてハッと息を飲んで目を開けた。