だけど大神様が探しているのは指だけだ。
「大神様は自分の指に執着してたんだよ。それがどういう原因かは、わからないけど」

「指がある場所を知りませんか?」
四葉にとってはそれが一番大事なところだった。

大神様の指がどこにあるかがわかれば、次に異空間へ連れて行かれたときに探し出すことができる。
けれど先輩は渋い顔を作って左右に首を振った。

「さぁ、さすがにそれは知らないなぁ。そもそも私は大神様に会ったこともないし」
肩をすくめる先輩の指はちゃんと10本ついている。

もしも大神様に出会っていれば先輩の指も一本ないはずだ。
「そうですか……」

四葉は落胆して肩を落とした。
先輩は確かに怪談好きなのかもしれないけれど、やっぱり似たような情報しか持っていないみたいだ。

「その人身事故って本当に起きたんですよね?」
もうなにも聞くことがなくなってしまったと思ったとき、沙友理が横から声をあげた。

「もちろん。だから大神様のフミキリなんて噂が立ったんだからね」
「それ、いつ頃の事故かわかりますか?」