「つまり、四葉は大神様に会ったってこと?」
沙友理が目を丸くして聞き返してくる。

四葉は何度も頷いた。
「ってことは、私達が家まで見送った四葉はなんだったの?」

瑠美に聞かれて四葉は必死に頭を働かせた。
「たぶん、それは肉体だけになった私なんだと思う。目が覚めたらちゃんとベッドで寝てたし」

「じゃあ、大神様の手伝いをした四葉は魂の方ってこと?」
「たぶんね」

ふたりと話しながらもだんだん自身がなくなってくる。
あれは本当に自分が経験したことなんだろうか。

全部夢だったんじゃないかと思えてくる。
だけど夢じゃない証拠はちゃんと残っていた。

四葉は場所を変えて廊下へ出ると、左手にまきつけた包帯をほどきはじめた。
「びっくりしないでね?」

ふたりへ向けて注意してから、包帯をといた左手を見せた。