「今日合ったら沙友理に怒っておかないと」
ブツブツと文句を言いながらクローゼットの中から制服を取り出す。

その制服もきれいなものだった。
土もほこりもついていない。

ただ、鼻の奥に雑草の青臭さが残っているのだけが不思議だった。
大きな姿見の前に立ち、パジャマのボタンに手をかける。

そのとき、なにか違和感があった。
普段とは違う、なんだかすごく不器用になってしまったような感覚。

その違和感の正体を探って視線を舌へ移動させる。
まず最初にパジャマの青色が目に入った。

今年に入ってから新調したもので、四葉のお気に入りだ。
次に目に入ったのはパジャマについているボタンだった。

透明なボタンが上から下まで7つついている。
だけど違和感はそれじゃない。