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大神様がなにを探しているのか。
聞いてみればいいかもしれないが、恐ろしくて質問することはできなかった。

でも大神まさには指がない。
探しものは指ではないかと、四葉は検討をつけていた。

とはいえ、周囲は雑草に覆われていて、指を探すのは大変だった。
青臭い草をかき分けるたびに自分の指先を切ったり、飛び出してきた虫に驚いたりする。

四葉が探しものをしている間、大神まさはジッと立ってフミキリを見つめていた。
そこは大神様が死んだ場所であり、大神様は執着している場所でもある。

いったいどんな気持ちでフミキリを見つめているんだろう。
気になったけれど、捜し物の手を止めるわけにはいかなかった。

探し出してあげないと、明日には自分の大切なものがなくなっているのだ。
大切なものと言われて思い出すのは中学祝に買ってもらった白い自転車だった。

カタログで見つけて一番最初に気に入って、すぐに決めたものだった。
自転車通学ではないから遊びに出かけるときくらいにしか乗らないけれど、四葉はそれをとても大切にしていた。

もしあれがなくなってしまったら?