「どうしてここに!?」
慌てて振り返ってみる。

そこには壮大な原っぱが広がるばかりだ。
確かに私は今後方から走ってきたのに。

元の場所に戻ってくることなんて、あるはずないのに……。
四葉はゴクリと唾を飲み込み、女の子の後ろを通り過ぎた。

体力はまだもう少し残っている。
その体力を使い切ってしまうようにまた走り出した。

途中で声をかけた民家が現れ、通り過ぎ、そして立ち止まったときまたフミキリの音が聞こえてきた。
フミキリの前には赤いワンピースの女の子が立って、まるで手招きすうように四葉を見つめている。

「嘘でしょ……」
疲れ切ってその場に両膝をついてしまった。

制服のフカートが汚れるけれど、そんなこと気にならなかった。
走っても走っても同じ場所へ戻ってきてしまう。