近づけば近づくほど
痛みは増した。
1度だけ、
話せた機会があった。
―でも…
「あ、君…」
「え?」
俺は突然のことに口が開いた。
「ねぇ、B組の優史って人…知らない?」
「…ごめん」
「そっか、じゃあいいや」
タタタッ
これだけだ。
優史という男とはイチャイチャしているのに、
昔のクラスメートには、
『じゃあいいや』で終わらせた。
しかも…
優史を探すのを手伝うなんて…無理だった。
「っく…」
このとき俺は、
高校に入って…
初めて涙を流した。
悔しい…、悔しい…、悔しい…
優史なんかより、
頼られる彼氏になってやる…絶対!!!!
負ける気がしねぇ。
俺はそれから更に自分を磨いた。
…運命の日は
やってきた。
「やだなぁ、俺だよ俺。名前…知らない?」
「…ご、ごめん」
…ハハ、そりゃそーだよな。