「…べ~にさん?」
俺は、
勇気を振り絞って…
小学生時代…
『好きだった』
紅に声をかけた。
すごく緊張した。
…俺ってどんだけシャイよ。
大好きだったからこそ、
デブって呼ばれてたことが
悔しかったから…
痩せる決心がついたのかもしれない。
―ハァッ、ハァッ
それから毎日、毎日運動したし
ご飯の量だって減らした。
元は、悪くない顔だったから…
痩せると俳優みたいだ。
これで…、これで…紅と並んで歩けるって思った。
入学しても、一考に気づかない…紅。
同じクラスになれても、
いつも隣にいるのは、
凛香と有咲と“優史”。
俺はその中にも入っていなかった。
ズキンッ
と心はいつも痛んだ。
紅を、見れば見るほど… …
もう1ヶ月もたつと
優史とやらが…紅のことを好きなのはわかる。
悲しかった。