「優史…、ドレス…ここ

置いとくね」



タッ

…私が去った後すぐに、

優史は出てきた。




私は曲がり角で、見ていた。







ガチャ


「…紅」


今、光景に見たものは

一生


忘れられない宝物になるだろう。




…優史は、玄関から出てきて






私と同じように


ドレスを抱きしめ

“泣いていた”。






近所の人に知られないように、

静かに―静かに―


「優史…、ごめんね」


「…え?」



小さく呟いたつもりだったのに、

優史には


聞こえちゃったのかな?



「ばいばい」




また、

小さく手を振って、家へ帰る。