真紅郎も大したものね。

私は廊下を歩きながら思う。

民間のテストパイロットでありながら、この評価試験基地を襲撃してきたテロリスト機をほぼ一人で撃墜。

その腕前が認められ、今回試験航行を行うあのグリフォンの護衛を務める事になったんだから。

普通こんな任務、民間人から選出されたりはしない。

そもそもグリフォンは軍の管轄だ。

民間人を交えると機密の問題もあって何かと面倒だ。

それを差し引いても、真紅郎のAM操縦技術は護衛任務を任せるに足るという事なのだろう。

残念ながら私は選出されなかったけど、同じテストパイロット仲間として、真紅郎の選出は嬉しい事でもあった。

…廊下を歩いていると。

「あら?」

閲覧室のドアが開きっ放しになっている。

誰かしら、ここにはデータベースもあるっていうのに。

無用心な人間もいるものだと呆れながら。

「?」

中を覗くと、一台のパソコンのランプが点灯したままなのに気づいた。

何気なく。

私は室内に入った。