「ひとつ、訊きたいわ」

私はレイカーを見る。

「ラルフは何故貴方達と行動を共にしていたの?彼は国連軍のパイロットだった筈よ」

「…君にはそう告げていたのか」

レイカーは目を閉じる。

「ラルフは元より私の部下であり、コンロット社に雇われた傭兵だった。君には何と告げて出て行ったのかは知らんが、彼は既に一年前から、帝重工の基地襲撃計画に参加していた…帝重工側のテストパイロットである君と知り合っていたというのは、不運と言わざるを得ない」

「……」

私もラルフにはテストパイロットをしているとしか告げておらず、帝重工の人間である事は知らせていなかった。

その事が、こんな悲劇を生み出してしまうとはね。

自嘲しつつ、私はもう一度レイカーを見る。

「真紅郎を殺した後は、貴方達にも銃口を向けるかもしれないわ。それでもいいのね?」

「…何を考えているかわからないより、腹の中がわかる方が有り難い」

差し伸べられたレイカーの手を。

「…お世話になるわ」

私は握手で返した。