「それにしても…」

更に思案を続ける。

評価試験基地を襲撃したテロリスト機のパイロット、ラルフ・アシュフォード。

その男と白金茜が恋人同士だったとは。

…グリフォンの乗組員には選ばれなかったものの、私は彼女のパイロットとしての腕前も高く評価していた。

それこそ、帝君に匹敵するだけの高い技術を持っていると考えている。

それだけに、彼女がコンロット社側に裏切ったのは痛い誤算だった。

更にはコンロット社についた元国連軍のエースパイロット、『暁の死神』ミハエル・レイカー少佐。

彼とは面識がないものの、その名は軍属ならば知らない者はいない。

腕は立つ。

だが融通のきかない面もある男と聞いている。

己の信念に従って生きる男。

たとえ世間からはテロリストと罵られようとも、だ。

正しいと思えば、悪名さえも敢えて被る。

「難儀な相手が敵に回ったものだな…」

たまらず。

私は深く息を吐いた。