帝重工評価試験基地を襲撃したテロリスト機。

あの操縦技術からして、ただのパイロットではないと思っていた。

案の定元軍人。

しかし、単独犯である筈がない。

あれほどのカスタムを施したソルジャーを個人で手に入れられる訳がないし、そもそも個人が大企業相手に喧嘩を売るには、帝重工は規模が大きすぎる。

あのテロリスト…ラルフ・アシュフォードは何者かに雇われたと見るべきだろう。

考えを巡らせていると。

『帝真紅郎、帝真紅郎、司令室に出頭せよ』

館内放送が聞こえた。

時計に目をやる。

…もうそんな時間だったか。

俺はデータベースをそのままに席を立った。