なのにとても適当にかっこいいかっこいい、と棒読みで放つ彼女の姿に僕は笑顔の裏で眉間に皺を寄せた。

あー、僕に興味無い感じですか?

もったいないなぁ。こんなにかっこいいのに。

その視界に1ミリも納めないなんて。

実に不憫だ。

「葵、帰ろーぜー?」

「あぁ」

幼馴染である涼太(りょうた)が僕の肩を叩く。

さっきまで大混雑していた廊下。

先程教師が密集する女共に注意した為、今では簡単に通行出来た。

しかし涼太の後に続き廊下を出ると目の前に1人の女が立ち塞がった。

「葵くん、あのね…、なんか私の友達が葵くんと連絡先交換したいって言ってて……」

恥ずかしげに僕を見上げる女。

身の程知らずに連絡先?

笑っちゃうな。

内心ため息を吐き出しながら笑顔を作る。

「え? そうなの? 嬉しいなぁ…。うん。いいよ」

快く承諾すると、話し掛けてきた女の後ろから指をいじいじする2つ結びの冴えない感じの女が見えた。

あー、交換したいのこいつか。

……本人が言いに来いよ。意気地無しだな。