チヤホヤされるのは昔から大歓迎。

生まれして持ったこの完璧すぎる容姿。

牛乳を飲むなんて地道な努力などしなくても成長と共に自動的に伸びたこの理想的な高身長。

女を見下すのにちょうどいい。

この容姿さえあれば僕は無敵だ。

全て僕の思い通り。

「指ハートしてー!」
「投げキッスしてー!」


机に頬ずえを着きながらも向けられた要望を1つ1つ的確にこなし最高のファンサを巻き散らす僕。

全員僕に釘付けだ。

優越感に浸りながら粘土のように練り固められた笑顔を顔面に張りつけ女たち一瞥する。

全員僕を見て頬を染め、手を振って、声援を送っている。

まさにバラ色の人生。

しかし……

1人だけ。僕を見ていない不届き者がいた。

「もう満足しましたか?千紗さん」

「ちょっとー!反応薄くない!?玲乃もちゃんと見た!?」

この場から早く帰りたそうに友達を見る1人の女……。

もはやこの場にいる他の女たちに軽蔑の気持ちすら感じる。

へぇ。僕に興味ないんですね。

こんなにかっこいいのに。

気に食わないなぁ。すごく癪に障る。

僕、今こんなに愛想振りまいてるんですよ?

見て下さいよ。

僕の顔面に恋焦がれない女性はこの世に1人たりともいないんですよ?

「見た見た。かっこいいかっこいい。ほら!時間いいの!?部活!」