一生懸命になっちゃって……

バカみたい。

でも女が僕に落ちる瞬間ってマジで快感だな。

この顔面最強すぎね?

「おねがい…っ、葵くん……」

最初の頃は僕なんか全然興味なさげだった生徒会長さんがこんなにも僕という沼に溺れて……。

あの強情さはどこへ行ったんでしょうね?

呆気ないもんだな。

「きゃっ…」

ドンッ!と大きな音が路地裏に響く。

再び彼女を壁に押し付け、いわゆる壁ドンをしていた。

不安そうにワナワナと唇を震わせながら僕を見つめる彼女をギロリ、と睨みつける。

僕があまりにかっこよくて手放しがたい存在だってことはよく分かるよ。痛いほど分かる。

だけど…

「…………本気になられたら僕は冷める」

それだけ言ってその場を後にした。

もう会うことはないと思うけど今までいっぱい遊んであげたし、さすがに満足してよね?

***

「キャー!葵くんー!こっち向いてー!」

「かっこいいーっ!!」

入学式が終わって、放課後のこと。

廊下に集まる群衆()が不規則に僕の名前を呼び、僕の視線を独占したがっていた。

向けられた要望に応えるようにして、僕は嫌な顔1つすることなく視線を女達に向ける。

それだけでその場がわぁっ、と波を立て盛り上がった。

今この学校で1番注目を浴びているのは僕で1番の主役は僕だ。