やがて「はっ」となにか思いついたように口を開けると弄ぶかのような眼差しを向けた。

「先輩……あの…、もしかして嫉妬、してます?」

「はっ、はぁ!? する訳ないでしょ!」

「えぇー? ほんとですか?」

「ほんとです!」

「あはは、すみません。分かりました。それにしても先輩顔真っ赤ですよ?」

「うるさい!」

初めて会話を交わして1時間も経っていないというのに終始人を小馬鹿にしたような態度でいられるのはきっと私の弱みを1つ握っているから…。

あぁ……もう私は一体なんてことを……。

ますます自分の失態が憎たらしい。

まぁ変に反抗しても状況はさらに悪化してしまいそうなので嫌々ババ抜きに付き合うことに。

でも最後の2枚のうち1枚を私が引く、という局面で私はまたも大失態を起こす。

差し出された2枚のカードの右側を引くがなんとババ……。

手元に残った2枚のカードのうちババではない方を葵くんが見事抜き取った。

「やった。僕の勝ちですね」

手元に1枚だけ残った不気味に微笑むババをホロリ、と地面に落とし絶望した。

「です……ね」

この男のことだからどうせろくでもないことを考えているに違いない。