額がくっつきそうな距離で、あと数センチ近づいたら唇が触れてしまう。

そんな距離まで近づかれ、バクバクと心臓が鳴り出した。

どうしようどうしよう、どうしよう。

怖くないけど違う意味で……。

キュッと唇を引き結んで、時間が過ぎるのを待っていると、軽く頭を小突かれた。

いつの間にか目もぎゅっと瞑ってしまっていた。

「なーんてね。美優ちゃん、恐怖症治ったね多分」

「治ったかな?今日男の人と話せたし、治ったのかも……?」

「ふふっ、じゃあもう俺は要らないね」

「え?」

要らないって?

要らない、という言葉でこれから告げられることがわかった気がする。

多分別れようってことだろう。