「じゃあ先にメリーゴーランド乗りたいな」

「ねぇ美優ちゃん」

立ち上がった時だった。

手を握られ体を引き寄せられたのは。

ぽすっ、と高崎くんの体に体が当たる。

そしてボソッと耳元で囁かれた。

「付き合ってるんだから手繋ぎたい」

いつものチャラチャラした感じじゃない。

落ち着いた大人の人のような声。

私にそう言うとすぐに私から離れていった。

ドッ、ドッ、ドッと心臓の音が、大きく速くなっていく。

男の子に触れられたのに怖くなかった。

むしろ……。

手を繋ぐなんて怖い。

でも今は恥ずかしいの感情の方が強い。

いつの間にか高崎くんへの恐怖心は1つも無くなっていた。