芹くんの背中にそっと腕を回し、ぎゅうっと強く抱きしめる。



すると、芹くんの体がビクッと跳ねた。



「っ、結羽?ほんと、どうしちゃったの…」



「ど、どうもしないっ…。元々こうだもん…っ」



「…聞いてないけど」



私が駄々っ子のように言うと、芹くんがほんの少しだけ動揺しているように思えた。



あれ…もしかして私、芹くんのペース崩せてる…?



さっきまでのマイペースな芹くんが、私のわがままで困ってるように思えるんだけど…。



そう思ったら嬉しくなっちゃって、もっといろんな芹くんの反応を見たくなってしまう。



ちょっとくらいなら意地悪してもいい…よね?



次のわがままを言ってみようと顔を上にあげたところで。



「はぁ…調子狂うな」



小さくため息をこぼした芹くんが私の膝の裏に手をかけたと思うと、そこから一気に浮遊感に襲われた。



「っきゃあ!?せ、芹くん何して…っ」



「んー…お姫様抱っこ?」



「お姫様抱っこ!?!?!」



なんで急にお姫様抱っこなんてするの…!?



「っやだぁ…!!離してっ…下ろしてよ…っ!!」



あまりの恥ずかしさに耐えられなくって、足をバタバタと動かす。