「…そう見える?」
「自分から家に女連れ込んでイチャイチャとか初めてじゃね?」
「あー…たしかに。自分からはないね」
…なんか2人の会話が始まっちゃったから聞いてるけど、私、空気と化してる気がする。
やっぱりお友達なだけあって、なんだかんだ仲がいいみたい。
これは、私がお邪魔……かな?
なんとなく居づらさを感じて、お手洗いでも借りようかな…と思ったものの。
「あの、芹さ───」
「ってゆーか、いい加減に早く帰ってくんない?」
私をすっぽり覆うように、ぎゅうっと抱きしめられてしまった。
「っ?!」
な…なんで抱きしめられて…っ。
まさかの出来事に、頭では処理しきれても心臓が追いつかない。
「懇麗会は欠席するって言っといてよ。ここにいるのも、どーせ俺のこと待ってたからでしょ。凪が行けばどーにかなるからさ」
「本当に人使い荒いなぁ、芹サマは」
「よろしくね、凪」
2人が何か喋ってるけど、私はそれどころじゃないから会話もろくに頭に入ってこない。
「んじゃ、思う存分イチャついてろ。芹をよろしくな、かわい子ちゃん」