まだ知り合ってばかりだからなんとも言えないけど…芹くんはかなりの曲者と見た。
これじゃあ芹くんの周りにいる人たちは大変だなぁ…とか他人事のように思っていたら、急に肩をグイッと寄せられ体が傾く。
「だからね凪、もう帰って。俺はこの子とイチャイチャすんの」
近づいたときに香る香水の匂いと芹くんの体温が、ドキドキを加速させる。
得意げに私の肩を抱く芹くんに、キュンと胸が高鳴った。
「っせ、芹くん…?」
「ん…?どーした?」
「その…ちょっと、近くない?」
「うん、だって近づいてるもん。そりゃ当たり前。結羽が可愛いからついくっつきたくなんの」
「な…っ」
なんでそんな平然としてるの…!?!?
私は男の子に近づいただけでいっぱいいっぱいなのに、芹くんはまるで違う。
経験値の差ってやつ…?
それにしたって距離感バグってるよ絶対!!
芹くんといると心臓がいくつあっても足りないし、頬とか体とかずっと熱くて私が私じゃないみたい。
「…お前って、そんなんだったっけ」
凪さんが立ち上がると、芹くんにジト目を向けて呟いた。
「なにが?」
「芹は基本的女に塩じゃん。なのに何?それ。極甘すぎて吐きそう。胃もたれするわ」