まあ、ほたるが頭を抱えるのも無理はない。

もう受験を来年に控えている高校二年生が、全員、猫か犬の格好をして、

猫と犬になりきっているのだ。

それに加え、いつもは殺風景な教室も、可愛らしい、それはもう本当に可愛らしい

飾り付け。

メニューは全部、にゃんにゃんにゃんか、わんわんわん。

……でも意外と人気がある。

「一番テーブル、オレンジジュース二つ入りましたわん」

「二番テーブル、コーラですにゃん」

「五番テーブル、いちごオレですわん」

提供するのはジュースだけだと言うのに、高二がわんわんにゃんにゃん言ってるのが聞きたい

からなのか、なかなか休む暇を与えてくれないお客……だにゃん。

後十分で交代か……。

教室に設置されている時計を見上げて、私は猫のしっぽを整える。

さっき小さい子に無限に触られてたせいでボサボサなってしまっていたためだ。

「お客様一人入られましたわん。朝比奈にゃん、頼みましたわん」