裏表が激しい生徒会長に目をつけられてしまいました

「どうだった?俺のロミジュリ」

「すごかった!最初はどうなることかと思ったけど、最後はジュリエットの暖かさでロミオが優しくなるのがもう、こっちまで暖かくなったよ!」

「そっか、ありがと」

少し照れたように頬を掻いた武田くん。

普段そんな表情を見せない彼が照れていると言うのが面白くて、近づいて覗きこむ。

けれどもすぐに視界が真っ暗になって、何も見えなくなる。

「ストップ」

この声……。

「千秋くん?な、何してるの……?」

前が見えない……とモゾモゾ動くと、余計に動きを封じられてしまう。

「いいから」

いや、良くないんだけど……と思いながらも、為す術がなくされるがままになる。

「北斗……お前、何がなんでも独占欲撒き散らしすぎだから。周りの人が見てるから」

うそっ⁉︎

武田くんの言葉に、千秋くんの手の先を想像するのが怖くなる。

「うるせぇ、二度とこいつに近づくな、このナンパ野郎が」

な、ナンパ野郎……?

顔は見えないけど、千秋くんは今、腹黒モードだ。

その証拠に、人気者モードの千秋くんより声が低くて、私の腕を掴む力も強くなっている。

「ひでぇ……俺、彼女いるのに。ま、いいや。朝比奈さん、また後でね」

「あ、う、うん!またね、武田くん」

視界が自由な時の記憶を頼りに、見えない武田くん
手を振った。

「……あ、あの、千秋くん……話して欲しいんですけど……」

「無理、あと、もう武田には近づくな。会長命令だからな?」

「えぇ……?」

もう何が何だかわからなかったけど、とりあえず頷いておくと、安心したのか、やっと手を離してくれる。