「北斗、また告白されたんだって?」
いつものように、中庭の中心に生えている巨大な木の下に座ってぼーっとしていると、中学からの仲の武田が話しかけてくる。
「まあ」
「で、断った?」
自信満々でそう聞いてきて、少しイラッとしたけど、事実だから何も言えない。
「……だって興味ねえし」
「そうですかー……お前は朝比奈さんじゃないと嫌だもんな」
「……っ、は?」
武田の言葉に思わず顔を上げると、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべていて、顔を上げたことを後悔する。
「だってその通りだろ?……あーあ、学校一の王子様が誰にも知られることなく一人の女の子に恋をしてるなんて、みんなが知ったらどうなるか」
両手を頭の後ろで組んで、その辺をぶらぶら歩く武田。
「くそ……むかつく……」
「え?」
ぼそっと呟いた俺の言葉が聞き取れなかったのか、武田は首を傾げて俺の方に戻ってくる。
「あーっ、くそ。マジうぜぇ!!」
「なんなんだよ、急に」
突然立ち上がって持っていた手紙をくしゃくしゃにして放り投げる。
武田は驚いたように一歩後ろに下がったが、手紙に気がついて、なんだ、そんなことかとでも言うように肩をすくめた。
こいつ……人の気も知らないで……。
「まあまあ、そんなに嫌なら断ればいいのに」
「そうすると次は『千秋くんの意地悪!』が始まるんだろ?それよりはマシだ」
「そうか?そんな感じには見えないけどな」
そろそろ武田を一発殴ろうかと、一歩踏み出した時、カランッと音が鳴って、素早く音の鳴った方を見る。
「誰かいるのか!?」
俺の言葉に誰も返事をすることはなかったけど、見覚えのある後ろ姿が見えて、俺はその場で固まる。
「あれって……」
「……あぁ」
すぐに柱に隠れてしまったからしっかりとは見えなかったが、間違いない。
「朝比奈穂乃果……」
俺の最初で最後の初恋の女。
いつものように、中庭の中心に生えている巨大な木の下に座ってぼーっとしていると、中学からの仲の武田が話しかけてくる。
「まあ」
「で、断った?」
自信満々でそう聞いてきて、少しイラッとしたけど、事実だから何も言えない。
「……だって興味ねえし」
「そうですかー……お前は朝比奈さんじゃないと嫌だもんな」
「……っ、は?」
武田の言葉に思わず顔を上げると、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべていて、顔を上げたことを後悔する。
「だってその通りだろ?……あーあ、学校一の王子様が誰にも知られることなく一人の女の子に恋をしてるなんて、みんなが知ったらどうなるか」
両手を頭の後ろで組んで、その辺をぶらぶら歩く武田。
「くそ……むかつく……」
「え?」
ぼそっと呟いた俺の言葉が聞き取れなかったのか、武田は首を傾げて俺の方に戻ってくる。
「あーっ、くそ。マジうぜぇ!!」
「なんなんだよ、急に」
突然立ち上がって持っていた手紙をくしゃくしゃにして放り投げる。
武田は驚いたように一歩後ろに下がったが、手紙に気がついて、なんだ、そんなことかとでも言うように肩をすくめた。
こいつ……人の気も知らないで……。
「まあまあ、そんなに嫌なら断ればいいのに」
「そうすると次は『千秋くんの意地悪!』が始まるんだろ?それよりはマシだ」
「そうか?そんな感じには見えないけどな」
そろそろ武田を一発殴ろうかと、一歩踏み出した時、カランッと音が鳴って、素早く音の鳴った方を見る。
「誰かいるのか!?」
俺の言葉に誰も返事をすることはなかったけど、見覚えのある後ろ姿が見えて、俺はその場で固まる。
「あれって……」
「……あぁ」
すぐに柱に隠れてしまったからしっかりとは見えなかったが、間違いない。
「朝比奈穂乃果……」
俺の最初で最後の初恋の女。



