教室の一角からそんな声があがって、気持ちのゆるみが伝染したように、教室がさわがしくなる。

 一般クラスのGebot(ゲボート)生がそれを抑えようと「静かに!」って言ってるけど、収まる気配はない。

 私は息を吸いこんで、大声を――。




 ガラガラ…


「よぉ、センセーが困ってるだろ?静かにしてやりな」


「「「…はい!」」」




 しぃん、ととたんに静まり返った教室に目を走らせる。

 全員が、108番の言うことを聞いてる…。




「気をつけねぇと、すぐちょうばつ房に入れようとしてくるからな。かしこくやろうぜ」




 Verbrechen(フェアブレッヒェン)生たちにひらひらと手をふった108番は、私を見ると、“どうだ”と言いたげに首を(かし)げて笑った。

 108番のうしろにちゃんとサポート刑務官が付き添っているのを確認して、私はぷいっと顔をそむける。


 …財前先輩に報告しなきゃ。