「――ということです。わかりましたか?」


「あっ、それ、キングに教えてもらったことと似てる…!」


「…キング?」




 刑務所棟内にある教室にて、Verbrechen(フェアブレッヒェン)の1年生徒に社会を教えていると、ひっかかる発言が出てきた。

 オウム返しにして聞けば、生徒は「あ、えっと…」と目を泳がせて、おずおずと口を開く。




「108番、さんのこと…」


「…そうですか」




 そんな呼ばれ方をしてるんだ。

 まぁ、108番が暴力団の縁者ってことはうわさばなしとして広がってるみたいだから…。


 …ううん、でも、“キング”?

 それってちょっと危なくない?




「あ~、もう疲れたー!終わりにしようぜ、先生ー」


「そうだそうだ、もう休みにしよう!」