きっと、泣きたかったはず。

 

 ながい時間をかけて、裁判は終わりを迎えた。

 一度有罪となった雷牙の“殺人罪”に対して、裁判官がいま、判決を下す。




「――無罪」




 その言葉が聞けたとき、ほっとして、固く握っていた手から力が抜けた。

 被告人席に座っている雷牙を見ると、視線が合って、ほほえまれる。

 私も気がゆるんで、気づいたら笑顔を返していた。


 よかった…。

 これで雷牙は、刑務所のなかで一生を過ごさなくていいんだ。