…たしかにそう言ってた。




「そいつが思いのほかおもしろくて、ついついはなしこんでた。で、気づいたときには19時4分。タクシーを拾って山に行った」




 ここからは…事件の真相が、雷牙が事件にどう関わったかが明かされる。

 私は目を開けて雷牙の背中を見つめた。




「駐車場についたときには、ほとんどのやつが死んでた。鉄次だけが生きてて、なにが起きたか聞いた。俺は救急車を呼んで…鉄次が死ぬ瞬間を見た」


「…」


「鉄次の止血をしようとして、他のやつの服を|剥〈は〉ぎとってたら、俺もいつのまにか血まみれになった。ただ、それだけだ」




 ざわざわと、傍聴席がさわがしくなる。

 雷牙は、友だちの死を看取(みと)ったんだ。

 そのあと雷牙が取った選択を考えたら…表面上はそんなふうに見えなくても、すごく傷ついてたのがわかる。