「前日から、テツ…剣崎(けんざき)鉄次(てつじ)に29日の18時、山に来るようにって呼び出しを受けてた。指定の場所には車で10分ありゃあ行けたから…」




 パイプイスにだらっと座っている姿は、被告人らしくない。

 …や、ある意味で被告人らしいけど。

 もうちょっとちゃんとした態度をとったほうが裁判官の心証もよくなるでしょ、とうしろからにらんだ。




「17時に家へ帰って、30分くらいゆっくりしてた。そのあと、監獄学園の生徒をさらってきたってはなしを思い出して、倉庫に行った」




 裁判所にひびく雷牙の声を聞きながら、目をつむる。




「倉庫に着いたのは、35分くらいだ。そんで、監禁されてる女に会った。約束の時間までのひまつぶしをするつもりだったが…」