ベッドの上で片ひざを立てながら座っている雷牙に言われて、彼の耳をひっぱってみたけど、たしかにまるで起きる気配がない。

 私はため息をついて、心の準備をしてから雷牙に近づいた。




「体調はどうですか?」


「なんだ、その敬語。景依もあのうわさ聞いたのか?」


「うわさ?」


「…知らないならいい。しばらく俺に近づかないほうがいいぜ。チクり屋がいるみたいだからな」




 兎杏も雷牙も、なんなんだろう…?

 雷牙は立てたひざにひじをひっかけながら、格子(こうし)がはまった、すりガラスの窓をながめる。

 具合がわるいせいか、今日は大人しいな…。




「そんなに頭痛、ひどいんですか?それとも、他の場所にも不調が…?」


「ん?…あぁ、あれは仮病(けびょう)だよ。景依ってほんとちょろいのな」


「はぁっ?」