「たしかそいつ、女に手ぇ出してここに来たやつだろ。景依(けい)がその毒牙(どくが)にかかったらと思うとなぁ」




 雷牙は私を抱きしめたまま肩をすくめる。

 たしかに103番はむりやり女性をおそったあげく、抵抗した被害者に重傷を負わせた罪でここに来た受刑者だけど。




「自分の身くらい、自分で守れます!」


「俺のまえじゃいつもやられっぱなしなのに?」


「うっ」


「…かわいいやつ」




 ふっと、表情をやわらげて笑った雷牙は、両腕でぎゅっと私を抱きしめてささやいた。




「だまって俺に守られとけ」


「っ…」




 ドキドキと、鼓動がはやくなる。

 頬に熱が集まってきて、なにこれ…と頭が混乱した。




「なんで、僕がこんな目に…もっと性根のくさったやつはたくさんいるのに…!」




 103番の声がして、ハッと我に返る。