「誰とでも仲良くなれて、人のいい所見つけるのが上手で、さり気ない気遣いを当たり前のようにできる久木くんのこと」

まさか私が久木くんの話をすると思わなかったのか久木くんは驚いていた。

「さっき、久木くんの彼女になれたら幸せなんだろうなって思ったよ」

悩みがどんどん薄れて自分の正直な気持ちを話し始めた私。リスタートすると決めたあの日から私は進んでた。そう信じて。

「陽向先輩、もっかい言ってもいいですか」

早口でまた震えた声でそういう久木くんに頷く。

「好きです。付き合ってください」

いつの間にか顔と顔の距離が近くなっていた。

「初恋を吹っ切れた私のことも、久木くんのこと好きになった私のことも、久木くんのことも信じます」

私なりのオッケーの返事。彼には伝わってくれたみたい。私の手の上にそっと手を重ね、もう片方の手を後ろに回し抱き寄せられた。耳元で聞こえる彼の声。

「大切にします」

ありがとう、久木くん。私やっと前に進めるね。ここからもう一度、

リスタート。