「事務所の方針に従ってヒットを狙った売れ線でいくか、自分のやりたい音楽を貫き通すか。それで関係者と揉めて活動休止という選択をしたアーティストもたくさんいるから」

売れ線で行くか、自分のやりたい音楽を貫き通すか。

それはまさに今私が迷っていることを的確に表現した言葉。

プロとしてデビューした以上、ビジネスとしてヒットするような曲も作らなきゃいけない。

そのことを考えると、私はどうしたらいいのかわからなくなって、曲作りが止まってしまっていたんだ。

「誰かみたいな曲を作らなくちゃいけないって思うことはないよ。鈴原さんはもう自分の世界観や音楽観をしっかり確立できているから、自分なりのラブソングでいいと思う」

「私なりのラブソング?」

「うん。逆にヒットソングと似たような曲はみんな聴いてて飽きてるから、系統の違う曲の方が新鮮でリスナーも興味を持ってくれると思う」

確かにそれも一理あるのかもしれない。

私は私らしい曲でぶつかってみていいのかな。