「ミルクティーで……」

「じゃあ、コーヒーとミルクティーひとつずつでお願いします」

遠坂さんが注文してくれた。

「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」

店員さんがいなくなって、ふたりきりになった。

店内には他にお客さんがいない。

突然声を掛けられてここに来たのはいいけど、考えてみれば遠坂さんとふたりきりでお店に入るなんて初めてで、何を話したらいいかわからない。

というより、そもそも私、男の人とふたりでお店に入ったことなんてないし。

慣れないシチュエーションに緊張して黙り込んでいると、

「急に声かけてごめんね。なんか、悩んでるみたいだったから」

沈黙を破って遠坂さんが言った。