話している途中でドアをノックする音が聞こえて、舞台監督さんなどコンサートスタッフ数名と篠崎さんが入って来た。
そしてそのままミーティングが始まり、ステージセットや衣装、セットリストなどの構想が話し合われた。
ミーティング終了後。
「鈴原さん、このあと少し時間ある?」
遠坂さんに声をかけられた。
「ありますけど…」
今日はミーティング以外の予定はないから、帰って作詞をしようと思っていた。
「じゃあ、ちょっといいかな?」
不思議に思いつつ遠坂さんのあとについていくと、事務所のすぐ裏にある喫茶店に着いた。
中に入ると、店員さんが笑顔で迎えてくれた。
個人でやっているような小さな喫茶店だけど、アットホームな感じで落ち着いてゆっくり話が出来そうなお店だ。
「どうぞ」
奥の窓際の席に案内されて、遠坂さんと向かい合わせの席に着いた。
「何がいい?」
差し出されたメニューを見ながら考える。
コーヒーより紅茶派な私は、こういう時はいつもミルクティーを頼んでいる。